君の隣
──再挑戦への第一歩。

 支えてくれる朱音先生や凛先生、華恋。

 そして拓実の存在が、理名の背中をそっと押してくれる。

この道の先にある未来を、きっとふたりで見つけ出すと信じて。

休憩室のドアをそっと開けると、そこには凛先生の姿があった。

「あら、理名ちゃん。

 お注射終わった?」

 「はい。
 少しだけ、ひと息……」

凛は微笑み、持っていたカップを差し出す。

 「ココアだけど、飲む?
 
私の分、ちょっと多めに入れちゃって」

 「……ありがとうございます」

ふたり並んで座ると、ふと凛が口を開いた。

「何度でも言うわ。

 あなたね、昔のお母さんにそっくりなのよ。

 自分で“無理してない”って言いながら、実は誰よりも心が張りつめてるの」

 「……」

 「鞠子はね、いつもこう言ってたわ。

 『家族って、“なる”ものなんじゃなくて、“育てていくもの”』ってね。

 血がつながっていようと、いなかろうと──
 そうやって信じ合って育つのが、本当の家族だって」

理名の目が、大きく見開かれた。

 初めて聞いた母の言葉に、胸の奥がふわりと温かくなる。

「……育てていくもの、か」

 「そう。
 あなたと拓実くんなら、きっと大丈夫。

 私が保証するわ」

理名は目を閉じ、小さく頷いた。


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