君の隣
拓実は、ゆっくりと彼女に近づき、膝をついた。

 「泣いても、怒ってもいい。

 俺はどこにも行かないから。

 ちゃんと、こうして感情をぶつけてくれてるの、嬉しいんだ。

 俺も、受け止めなきゃ、って思えるから」

 「やめてよ、そんなふうに言わないで……

ダメになっちゃうじゃん、私」

「ほんとだよ。

 だって、悔しいのは俺も同じなんだ。

 でも、理名が辛いときに、俺が泣くわけにはいかないだろ?」

拓実の声は震えていた。

 そして、その手は迷わず、彼女の頬に触れた。

「辛いよな。

 俺も辛い。

 でも、……俺たちは、まだ終わってない」

 「……終わってない、の?」

 「うん。

 もう一度立ち上がれるまで、いくらでも待つ。

何なら、サンドバッグにだってなるさ。

 立ち止まっても、後ろを向いてもいい。

 一緒に、また前を向いてくれる日を、俺は待ってるから」

理名は、泣きながら首を振って──
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