君の隣

 そのまま、拓実の胸に顔をうずめた。

「……バカだな、拓実は……」

 「そう。

 理名に恋したときから、ずっとバカで一途なの」

拓実の腕が、壊れそうな彼女をそっと包み込む。

 理名の身体から、小さな震えと、止まらない涙。

でも、どんなに泣いても、世界は終わらなかった。

 朝はまた、来る。

そしてふたりはまた、そこから歩き出す。

週末の朝。

澄んだ空気の中、理名と拓実は小さなチャペルのある式場を訪れた。

 理名は、以前、華恋とふたりで訪れたことのある場所。

 でも、拓実と並んで歩くと、景色のすべてが少し違って見えた。

 敷地の入り口には、白いアイアンゲートと、季節の花が咲き誇るアーチ。

 その奥に広がる芝生は、陽の光を受けて柔らかく輝いていた。

 チャペルは、木造の温もりを感じる造り。

 ステンドグラスから差し込む光が、床に虹のような模様を描いていた。

春には、両脇に植えられた桜が満開になる。

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