君の隣
風が吹くたびに花びらが舞い、まるで祝福のシャワーのように降り注ぐという。

 華恋は優しく笑いながら、はっきりと告げた。

 「ここ、春になると植えられた桜が満開に咲くのよ。  ここなら、きっと。

 特別な1日にできると思うの。

 ふたりらしい心地よさが大切。

 無理しないで、ふたりのペースで準備しようね。

 いくらでもサポートするから。

 さぁ、中に案内するわね」

 理名は、チャペルの扉をそっと押して中に入った。

 木の香りがふわりと漂う。

 祭壇の奥には、シンプルな十字架と、白い布が優しく揺れていた。

 窓から見える庭には、ベンチと小さな噴水。

 その周りを囲むように、春にはチューリップやスズランが咲くという。

 拓実が理名の手を握り、そっと約束する。

 「ずっと、隣にいるよ。

 何があっても」

 その言葉に、理名は静かに頷いた。

 この場所なら、きっと大丈夫。

 泣いても、笑っても、ふたりの時間を優しく包んでくれる。

 ドレスも、指輪も、誓いの言葉も──

 完璧じゃなくていい。

ふたりが隣に立って、笑っていられるなら、それが“幸せ”なんだ。

 「……ここにしよう」

 
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