君の隣
 理名が呆れたように笑いながら、ふと思い出したように言う。

 「そういえばこの前、医局の棚から拓実の診療記録探してたら──
 カルテの間に、便箋が挟まってたの。

 しかも、手書きの」

 拓実が目を丸くする。

 「あ、それ……患者さんからもらった手紙かも。
 
研修医の頃、退院のときに渡されたやつ」

 「それをカルテに挟むなって言ってるの!」

 「いや、感動したんだよ。

読んで、そのまましまっちゃったんだよね。

 “先生の声が安心できました”って書いてあって、泣きそうになった記憶ある」

 理名はため息をつきながら、便箋の文字を思い出す。

 「字がすごく丁寧で、折り目もきれいだった。

 でも、カルテの間に挟まれてて、端っこちょっと折れてたの。

 ……まさか、書いた患者さん側も、こんな雑な保管されてるとは思わないでしょうね。

 今頃、泣いてるわよ、その患者さん」

 
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