君の隣
「理名の勤務先まで送るよ。
成都輪生大学病院まで急ぎなんだろ?
早く乗って」
理名が助手席に乗ると、圭吾は慣れた手付きでシートベルトを締め、軽快に車を走らせた。
理名は子宮筋腫による不妊症の悩みを抱えていた。
病院勤務の合間を縫って主治医で、理名の大先輩の三咲朱音さんに相談している。
しかし、その事実を、恋人の拓実には言えずにいた。
子どもができるかどうかは未知数。
そのため、わざと夜の関係も避けている。
同棲している以上、そうした行為ができないのは負担だろう。
彼をその足枷から解放してやったほうが幸せかもしれないが、言い出せずに半年が過ぎてしまっていた。
親友であり「恋愛のカリスマ」と呼ばれる美川華恋《よしかわ かれん》。
彼女の母はカウンセラーで、自身も精神科医の秋山深月《あきやま みづき》。
同じ大学病院に勤めているため、よく一緒に昼食をとっている。
理名は彼女たちの知恵を借りて行動に移そうとしていた矢先、病院からの呼び出しを受けた。
彼氏の拓実も医師だ。
血液内科医として、同じ病院に勤務している。
お互い不規則な生活のため、話すタイミングはなかなか合わない。
圭吾は、理名の様子を見て言った。
「何か悩んでいるんじゃない?
拓実には言えないことなのか?
俺でよければ、いつでも話を聞くよ。
夏南も心配してる」
やがて車は病院の前に停まり、圭吾は助手席のドアを開けてくれた。
「気をつけてね」
「病院まで送ってくれてありがとう。
助かったよ。
きちんと寝てるの?
眼の下のクマ、ひどいよ?
無理しないでね、システムエンジニアの仕事」
理名は圭吾にお礼を告げた。
そして、同窓会の会費代わりに千円札を数枚渡した。
成都輪生大学病院まで急ぎなんだろ?
早く乗って」
理名が助手席に乗ると、圭吾は慣れた手付きでシートベルトを締め、軽快に車を走らせた。
理名は子宮筋腫による不妊症の悩みを抱えていた。
病院勤務の合間を縫って主治医で、理名の大先輩の三咲朱音さんに相談している。
しかし、その事実を、恋人の拓実には言えずにいた。
子どもができるかどうかは未知数。
そのため、わざと夜の関係も避けている。
同棲している以上、そうした行為ができないのは負担だろう。
彼をその足枷から解放してやったほうが幸せかもしれないが、言い出せずに半年が過ぎてしまっていた。
親友であり「恋愛のカリスマ」と呼ばれる美川華恋《よしかわ かれん》。
彼女の母はカウンセラーで、自身も精神科医の秋山深月《あきやま みづき》。
同じ大学病院に勤めているため、よく一緒に昼食をとっている。
理名は彼女たちの知恵を借りて行動に移そうとしていた矢先、病院からの呼び出しを受けた。
彼氏の拓実も医師だ。
血液内科医として、同じ病院に勤務している。
お互い不規則な生活のため、話すタイミングはなかなか合わない。
圭吾は、理名の様子を見て言った。
「何か悩んでいるんじゃない?
拓実には言えないことなのか?
俺でよければ、いつでも話を聞くよ。
夏南も心配してる」
やがて車は病院の前に停まり、圭吾は助手席のドアを開けてくれた。
「気をつけてね」
「病院まで送ってくれてありがとう。
助かったよ。
きちんと寝てるの?
眼の下のクマ、ひどいよ?
無理しないでね、システムエンジニアの仕事」
理名は圭吾にお礼を告げた。
そして、同窓会の会費代わりに千円札を数枚渡した。