君の隣
「──うん。

 ここだね」

 朱音が画面を指さす。

「胎嚢、見える。

 ちゃんと子宮の中にいる。


 ……小さいけど、がんばってるよ」

麻未の胸の奥が、ぎゅっと熱くなる。

 涙が出そうだった。

 まだ“赤ちゃん”なんて呼べないほど、小さくて、頼りなくて──

 確かにそこで、生きている。

「……ほんと、に……?」

 声が震えた。

 朱音は、診察台に寝る麻未の手をそっと包み込むように握ってくれる。

「ほんと。

 麻未ちゃん、母になる準備、始まってるよ」


 診察が終わり、再び白衣に袖を通した麻未。

 
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