君の隣
その日の夜。

 勤務を終えて、慎也と住むマンションに帰宅した麻未。

 少しだけ着替えに迷った。

 いつも通りでもいい。

 でも……今日は、ほんの少し、特別でありたかった。

部屋着のキャミソールワンピース。

 胸元まである黒髪をゆるくまとめた。

キッチンには、ささやかな夕食。

 彼の好きな根菜の煮物、雑穀ごはん。

 お味噌汁に、甘辛の鶏つくね。

いつも通り。

 だけど、丁寧に。

 彼と“わたし”だけの時間のために。

「ただいま」

玄関の扉が開く音に、胸がきゅっとなる。

「おかえりなさい。

 お疲れ様」

エプロン姿の麻未を見つけた慎也が、ふっと優しく目を細める。

「……麻未がいると、それだけで疲れが抜ける」

「……なにそれ」

 笑いながら、でもその言葉に救われる自分がいた。


 食事を終えて、ふたりで片づけたあと。

 
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