君の隣
ソファに並んで座った麻未は、慎也の指先をそっと取った。

「ねえ、慎也」

 少しだけ顔を伏せる。

「ん?」

「……伝えたいことが、あるの」

彼の表情が、静かに引き締まる。

 彼女のそういう“声”を、慎也はちゃんと知っている。

麻未はゆっくりと、言葉を紡いだ。

「……今日、ね。

 朱音先生のところに行ってきたの。

 午前の診療が空いたタイミングで……」

 少しずつ、少しずつ。

「体調が、ね。

 なんだかちょっと……いつもと違ってて」

「……うん」

「検査してもらったの。

 ……そしたら、妊娠してるって」

その言葉が落ちた瞬間、室内の空気が少し変わった気がした。

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