君の隣
慎也の指先が、ほんのわずかに震える。

 でも、目は真っ直ぐに麻未だけを見ていた。

「……ほんと?」

「うん。

 まだ、初期で、胎嚢が見えただけ。


 心拍はこれから。


 でも……ちゃんと、お腹に、いるって」

言いながら、麻未の目がじんわりと潤んだ。

 不安も、喜びも、ぜんぶまるごと。

慎也は静かに、彼女の両手を包み込んだ。

 そして、ふっと目尻をゆるめて、声を震わせながら言った。

「……ありがとう。

 麻未、ありがとう」

 その声は、心の底からのもので、彼の目にも涙がにじんでいた。

「やめてよ、わたしまで……泣いちゃう……」

ふたりは笑いながら、涙をぬぐい合った。

 そして、そっと額を寄せ合う。

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