君の隣
「こわいの、正直。

 わたし、ちゃんと“母親”になれるかなって……」

そのつぶやきに、慎也はすぐさま、ぎゅっと抱きしめた。

「大丈夫。

 麻未なら、大丈夫。

 俺がそう信じてる。

 ……ふたりで、育てよう。

 子どもも、未来も」

その腕の中で、麻未は小さく頷いた。


夜は静かにふけていく。

 だけど、ふたりの間には確かに、未来へと続く鼓動が生まれはじめていた。

──まだ見えない命。

 だけど、たしかに“ここ”にいる。

……ふたりはその命を、共に迎えると決めた夜だった。

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