君の隣
スタッフたちが安心したように微笑み、ひとりまたひとりと退室していく。

 夜の病院は静かだ。

 白く照らされた廊下の光だけが、ふたりの影をのばしていた。

「麻未、起きられる?」

「……うん」

ゆっくりと目を開けた麻未は、慎也の腕に支えられながら立ち上がった。

 まだほんの少しふらつく身体を、彼のぬくもりが支える。

「帰ろう、今日は頑張りすぎたね」

「……ちゃんと、帰るって連絡すればよかった……」

「いいよ。

 ちゃんと、麻未のこと探しに来たから」

駐車場までの帰り道、ふたりはほとんど言葉を交わさなかった。

 だけど、その沈黙はどこかやさしく、あたたかかった。

助手席に乗った麻未は、しばらくしてそっと口をひらいた。

「……患者さんの前では、ちゃんと笑えてるんだけどね」

「うん」

「でも、診察終わって一人になると、気が抜けるの。


 ……“私、ほんとに頑張れてるのかな”って、ふと思っちゃって……」

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