君の隣
信号待ちの赤。

 隣で、慎也が彼女の手を握った。

「麻未が笑えてるなら、それで充分。

 きっと、患者さんたちにはそれだけで伝わってるよ」

彼の手は、ほんのりと温かい。

 冷たい夜の空気の中で、麻未は静かに目を閉じた。

「ねえ……ちょっと、だけ。

 寄り道、していい?」

「どこに行く?」

「公園……近くの。

 ベンチでいいから、少しだけ、外の風にあたりたい」

慎也は、にこっと笑って頷いた。

夜の公園は、涼しい風が通り抜けていた。

 ベンチに並んで座り、彼の肩にもたれた麻未は、小さな声で言った。

「……こうしてるとね、ちゃんとやっていける気がするの。

 不安もあるけど、全部ひとりで抱え込まなくていいんだなって……思える」

慎也は、彼女の肩を優しく引き寄せた。

「そう。
 ――ひとりじゃないよ、麻未。

 ふたりで、一緒に育てていこう」

「……ありがとう」

「こちらこそ」

しばらくして、ふたりはゆっくりと帰路についた。

夜の病院で倒れるほど頑張っていた麻未にとって、この夜のぬくもりは──

 きっと、明日を乗り越えるための、かけがえのない光となっていった。

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