君の隣
窓から差し込む朝の光に、麻未はゆっくりと目を開けた。

時計は、午前八時。

──いつもなら、慌ただしく目覚ましに叩き起こされて、急いで着替える。

 つわりと戦いながらも白衣に袖を通す時間。

それが今日は、違っていた。

「……ふぅ」

シーツの中、丸くなったお腹に手を添えて、麻未はゆっくりと呼吸を整える。

(ああ、ほんとうに今日から……“おやすみ”なんだ)

嬉しさよりも、少しだけ胸を締めつける不安のほうが先に来る。

 長年積み上げてきた“医師としての時間”。

 そこから一歩離れるその感覚は、どこか足元がふわりと浮くようで。

 休む、って、何をすればいいんだろう?

──と。

「起きてた?」

寝室のドアが、優しくノックされた。

「うん……いま、ちょうど」

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