恋がしたい。ただ恋がしたい。

訳の分からない日本語をできるだけ噛み砕いて、分かりやすく自分の気持ちを返したはずだった。


だけど、そんな私の態度に亨は苛立ったようで、また眉間に深い皺が寄ってしまっていた。


「だからさ、そうやって同窓会のあの場で別れたくないって割り込んで来るとか、相手に嫉妬するとか、素直に感情を見せてくれたらわざわざ俺がこんな店まで来なくても良かっただろ。」



「…はぁ!?」



「だから、もっと素直になれって言ってるんだよ。意地を張ってもいい事なんて一つもないだろ。今まで連絡して来なかった事は許してやるから。な?」



…意地っ張りなのは認めるけど、何で全面的に私が悪かった事になっているの?



目の前には、飲み頃の温度になったコーヒーがある。


私が飲みたいと思って手を伸ばせばすぐに味わえるはずなのに、重苦しい雰囲気が邪魔をして、感情のままに手を伸ばす事さえ躊躇ってしまう。


亨はいつも、言葉一つで私をコントロールしようとする。


愛情を感じていた時はまだ良かった。この人の言うことを聞いていれば、私はしあわせでいられるって思えたから。


実際は愛情なんかじゃない。言葉で押さえつけているだけ。


コーヒーを美味しいうちに味わいたい。この人はそんな些細な欲求でさえ、私が意のままにしようとするのが気に入らないのだ。

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