恋がしたい。ただ恋がしたい。

ふわふわにカールした明るいカラーのボブヘアーを揺らしながら歩いてきたその人は、胸に切り返しのある花柄のシフォンワンピースを身につけて、足元はウエッジソールのサンダルを履いていた。


顔に見覚えは無い。


けど、可愛らしくもどこか女をアピールしているその格好を見て、前にどこかで会ったような気がしたんだけど…でも思い出せなくて思わず首を傾げてしまった。


店の奥にあるこのテーブルの周りには他に席は無い。


私の知り合いでなければ、亨の知り合いって事になるけど…。


入り口側に背を向けて座っている亨には、まだこの女性の姿は見えていない。


そうこうしているうちに、その女性は私達のすぐ近くまでやって来ていた。


そしてバンッ!とテーブルに両手を付くと、「亨さんと別れてください!!」といきなり涙目で訴えてきた。


のっけから全力で話に割り込んできた女性に私は怯み、亨は目を見開いて驚いていた。


ややあって、先に口を開いたのは亨の方だった。



「望(のぞみ)、どうして来たんだよ!」
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