恋がしたい。ただ恋がしたい。
のろのろと服を身につけリビングへ行くと、そこにも裕介くんの姿は無かった。
リビングの電気を点けると、ローテーブルの上に私の鞄が置かれているのが見えた。
バスルームに続く扉は開いていたけど、人の気配は無い。
玄関には脱ぎ捨てたはずのパンプスがきちんと揃えられていて、裕介くんのスニーカーが消えていた。
…出掛けたんだ。
何となく拍子抜けして、その場にペタンと座り込んだ。
姿見には、泣きはらした後の腫れぼったい目をした女が映っている。
…どうしよう。
裕介くんの顔を思い浮かべた瞬間、鏡の中の自分の顔が真っ赤に染まった。
帰って来たら、どんな顔で迎えたらいいんだろう。
このままでいるより、シーツを換えておいたほうがいい?…でも替えのシーツの場所が分からないし…
立ち上がってリビングに戻っては来たけれど、一つも考えが纏まらなくて、意味もなくリビングをうろうろしてしまう。
鞄からスマホを取り出す。時間はちょうど20時を回った所だった。
その時、鞄の脇に置かれていたメモ用紙が目に入った。
『仕事に戻る事になりました。何時になるか分からないから、晩御飯は僕の分はいいから適当に食べて。用意できなくてごめんね。』
裕介くんからのメモを読んで、がっくりと力が抜けた気がした。