恋がしたい。ただ恋がしたい。
「裕介なら、ここにはいないわよ。彼、今私の所にいるから。今日はそちらには帰らないから、そのつもりでいてね。」
頭の中が真っ白になっていく。
「…仕事に戻るって聞いてましたけど。」
『私の所にいるから』。その意味を考えたくなくて、ショックを受けるって分かっていても思わず聞き返してしまっていた。
「どういう意味か分からないの?…うふふ。子どもじゃないんだから分かるでしょう?」
思った通り彼女はそう言うと、またクスクスと笑った。
「仕事じゃないわよ。私が彼を呼んだの。私ももうすぐ帰るわ。裕介だって、ただの同居人にいちいちどこに行くなんて言わないでしょ?」
「でも、私はあなたに色々と言いたい事があったから、ちょうどよかった。今、裕介は大事な仕事に関わってるし、忙しいのよ。だから今日みたいに下らない用事で振り回されたら困るの。裕介は優しいから…頼まれたら断れないでしょ?…お姉さんのお友達の頼みでもね。」
何一つ言い返せないのがとても悔しい。
悔しいけど、彼女の言う通りだから。
私は裕介くんを自分のせいで振り回してしまったし…それに、私は彼の恋人でも何でもない。
…ただの友達だ。
じわり、じわりと胸の中に黒い感情が渦巻いていく。