恋がしたい。ただ恋がしたい。
「…香織ちゃん。」
ギシッ、と音がして少しだけ自分の身体がベッドに沈む。ベッドの端に腰をかけたのだろう。裕介くんが近づく気配がした。
サラリと前髪を撫でられ、長い指が髪の毛の間を滑っていく。
そう言えばシャワーを浴びたままで寝てしまったから、適当なTシャツにショートパンツというだらしない格好のままだ。髪の毛すら結んでいない。
目を開けてしまおうか…そう思った瞬間、顔に吐息がかかりそうなくらいぐっと裕介くんが身体を寄せて来たのが分かって、反射的にギュッと固く目を閉じてしまった。
「…勘弁してよ。」
はぁ、とため息を吐く音がしたと同時に、すっと身体が離れていく。
バタンとドアが閉まる音がして、佑介くんの足音は消えていった。
…迷惑だったんだ。
無理もない。帰って来たと思ったら、自分のベッドに我が物顔で同居人が寝ていたんだから。
「…どうしよう。」
そう呟いた瞬間、目の縁がぶわり、と熱を持った。
その正体はもう分かっている。
せっかく洗ったシーツを汚さないように、急いでベッドから起き上がった。