恋がしたい。ただ恋がしたい。
そっとリビングの様子をうかがうと、裕介くんはいなかった。バスルームの扉が閉まっている。
急いで自分の寝室へと駆け込む。
頭が痛い。でも、それ以上に心が痛い。
涙が止まらない。この二日間、泣いてばっかりだ。
出来ることならすぐに涙を止めたい。そう思っても、どうすることもできず、溢れる涙はしばらく頬を濡らし続けた。
***
トントン…
暫くして、ドアをノックする音が聞こえた。
「香織ちゃん、起きてる?」
返事をしたくても、喉が詰まったように苦しくて声が出ない。
しばらく黙っていても立ち去る様子が無かったので、ようやく声を絞り出した。
「起きてる。」
声を出した自分でも驚くくらい温度の無い、棒読みのような返事だった。
「あの、さ…シーツ…洗ってくれて、ありがと。」
裕介くんは戸惑ったような、気まずそうな声でお礼を言ってきた。
…それだけ?
スマホの事は…?
彼女からスマホを受け取ったでしょう…?私に説明するつもりも無いの?
…私には関係の無い事だから?
ズキン、ズキンと心臓のリズムに合わせてこめかみが痛みだす。
「…ごめん。頭が痛いから、しばらく寝かせて。」