恋がしたい。ただ恋がしたい。
「大丈夫?薬は飲んだ?お水、持って来ようか?」
心配そうな声を聞いても、胸の痛みは増すだけだった。
「何もいらない。お願い、一人にして。」
…今は顔を合わせたくない。
胸に渦巻く黒い感情の正体を知った今、顔を見てしまったら、私は絶対に彼女の事を口にして昨日の事を責めてしまう。
『もう優しくしないで。』
喉の奥まで出かかったこの言葉だけは無理やり飲み込んだ。
ずるいけど、裕介くんの口からちゃんと彼女の事を聞くまでは離れたくない。
同居人の権利だけは、まだ手放したくない。
行き場の無かった私をここに置いてくれたのは感謝してる。
だけど、もう同情されるのは虚しいし、友情だけじゃ満たされない。
…そう思ってるのに、同情でも友情でもいいから優しくして欲しいなんて矛盾してる。
裕介くんが部屋に戻ったタイミングを見計らって、トイレに行ったり、キッチンに立ったりした。
昨日からろくな物を口にしていないけれど、食欲が全く湧かないから部屋を出る機会が減って、かえって良かったと思った。
だけど、常にドアの近くで気配をうかがって余計な神経を使ってしまったからか、夜になっても一向に頭痛が引く気配が無かった。
鉛のように重い身体を引きずり、ベッドに倒れこむ。そのまま泥のように深い眠りの世界に引きずり込まれていった。