恋がしたい。ただ恋がしたい。
訳が分からないまま、志田ちゃんの後を追って校舎を出る。車に乗せられ連れて来られたのは、学校から車で10分程の所にあるコーヒーショップだった。
これって、思いっきり仕事をサボってるよね…。
とんでもなく悪い事をしているようで、さっきから落ち着かないし、朝からの具合の悪さも手伝って、目の前のアイスコーヒーにも手を付けられない。
ソワソワしている私とは反対に、のんびりとフラペチーノを口にしながら志田ちゃんが話始める。
「まぁ、マックでも良かったんですけど、子ども達に見つかったらさすがにマズイですしね。あ、大丈夫ですよ。私達、午前中は修理に必要な備品を買い出しに行ってるって事になってますから。」
…いつの間にそんな話をしていたのだろう。
確かに何も持たずに学校を出てしまった私と違い、志田ちゃんは抜かりなく自分のカバンを持って来ていた。
アイスコーヒーの代金だって彼女に払ってもらったのだ。後輩に払わせたって事が落ち着かない一番の原因なのかもしれない…。
「最初に謝っておきます。私、崎ちゃんセンセーが菊井さんと別れてた事知りませんでした。話をややこしくしてしまってごめんなさい。」
いきなり話を切り出した志田ちゃんに目を丸くする。
…は?
ややこしくって…何が?
そもそもどうして亨を知っているの?
話って何の事を言っているの?
「先週、私、友達と会ったんです。覚えてますか?前に話したと思うんですけど、小中の同級生で急に結婚するって言い出した子なんですけど。」
その話なら、何となく覚えていた。
「えーと、確か訳ありっぽくて結婚式はしないって言ってた人だよね?」
「そうです。その子です。でも入籍は先にしたいって言ってたから…いつ籍を入れるの?とか、旦那さんはどんな人なの?とか、色々聞いてみたんです。そしたらいきなり泣き出したんですよ。……結婚出来ないかもしれない。彼氏が元カノの事を諦めてくれないって言いながら。」
「私、彼女がプロポーズされたって事までは聞いてたんですよ。だからその男の事許せなくって。じゃあ何でプロポーズしたんだって。…元カノはどう思ってるの?って聞いたら、私がプロポーズをされたのを見て、自分がはっきり振られたって分かってるはずなのに無反応だし、何考えてるのか全く分かんないって。」
「…だったら、彼の諦めが付くようにちゃんと二人で話をさせたら?って言ったんです。辛いかもしれないけど、あんたの方に気持ちがあるなら、彼は絶対戻って来るでしょ?って。」