恋がしたい。ただ恋がしたい。

どこかで聞いたような話が段々と核心に触れていく。


「その友達の名前…川嶋望(かわしまのぞみ)って言うんです。崎ちゃん先生、土曜日に会ってますよね?」



『ーー望、何で来たんだよ!』


『MilkyWay』に現れた彼女を、亨は確かに望と呼んでいた。


…でも、その話だけではどうしても腑に落ちない部分がある。


「話し合いなさい、って言った事は分かったんだけど、志田ちゃんは私が望さんの彼氏と…亨と私が付き合ってた事をどうして知っていたの?」


大学の時の同級生と付き合っている、と話した事は確かにあったけど、名前は口にしていないはず。


「崎ちゃん先生…何言ってるんですか?私、飲みに行く度に彼氏の話聞いてましたよね?で、名前だってちゃんと教えてくれたじゃないですか。大学の時の同級生で『キクイトオル』さん。大村先生とも友達だって。何回も聞いたから、ちゃんと覚えてますよ。」


「…なっ。」


飲みに行く度に?名前?純くんの事まで?


…誰か違う人の話なんじゃないかってくらいに全く記憶が無い。


「だから、望から彼氏の事聞いた時に驚きましたよ。『美和と同じく小学校の先生をしてて、キクイさんって言うの。』…そこまでだったら驚きませんけどね。名前はトオルさん。で、歳は二つ上の28歳だって言うじゃないですか。そんな偶然あり得ないでしょ?」


「ちょ、ちょ、ちょっと待って…。私、えっ?名前まで…教えて…えっ?」


「突っ込むとこ、そこですか?崎ちゃん先生、いっつも恋バナには全然乗って来ないくせに、彼氏の話してる時だけはデレるから、よっぽど好きなんだろうなって思ってたんですけど……ただ酔っぱらってただけだったんですね。」
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