恋がしたい。ただ恋がしたい。

志田ちゃんが、はぁ…とため息をつく。だけど、ほんとにため息をつきたいのは、私のほうだ。


お酒の席での事とは言え、聞かれるままペラペラと…しかもデレながら(?!)…亨の話をしていたなんて…恥ずかしくて、穴があったら入りたい。



「話戻しますよ。そこまで聞いて、何かおかしいなって思ったんです。…あの子…望は、ちょっと思い込みが激しいと言うか…悪い子では無いんですけど、自分が正しいって思うと突っ走っちゃう所があるんですよ。」


思い込みが激しくて、突っ走る。まるで自分の話を聞いているようだ。


「もう二人を会わせろって言っちゃったから、望のほうは無理だなって思って、大村先生に菊井さんの事を聞いてみたんです。」


…純くんに?…それが話をややこしくしたって事?


「どうして…大村くんに聞いたの?」


「だって金曜日に崎ちゃんセンセに話しようと思って放課後になるのを待ってたら、すぐに大村先生と二人でどっか行っちゃったし、待ってたらセンセのスマホに菊井さんからのLINEが入って来たの…見えちゃったし……ゴメンナサイ。やっと捕まえて話しようと思ったら逃げるように帰っちゃうし。だから大村先生を捕まえて話聞いたんです。」


…ん?今さらっと話の間に挟んだから聞き流しそうになったけど、スマホをのぞき見たって事だよね…。


「…そしたらやっぱり望から聞いた話とは全然違ってて。崎ちゃん先生は菊井さんとはもう別れてるって言うし、今は自分の後輩と付き合ってるはずだって…でも、先生、前に6月くらいには結婚するかもねって言ってましたよね?それって菊井さんの事じゃなかったんですか?」


純くんが亨との待ち合わせを知っていたのは、志田ちゃんが教えたからだったんだ…。


志田ちゃんに張った小さな見栄を、まさか今頃掘り返されるなんて思ってもみなかった。
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