恋がしたい。ただ恋がしたい。

「大丈夫……っ。」


強がった途端にズキンズキンと鈍い痛みが続いて襲って来て、思わずこめかみに手を当ててしまった。


「大丈夫って顔色じゃないだろ。…ったく。ちょっとここ座れ。」


校庭の隅にあるベンチに座るよう促される。腰を下ろそうと屈んだ瞬間に目の前がグラリと揺れて、ドサッと倒れるように座り込んでしまった。


頭の上から純くんの大きなため息が聞こえてきた。


「……ダメだな。今日はもう帰ったほうがいい。目眩がするくらい頭が痛いんだよな?…じゃあ運転も危ないな。裕介に来てもらうか?」


裕介くんの名前が出た途端、「やめて!」と思わず強い口調で止めてしまった。


「あの…今、仕事が忙しいみたいで…土曜日だって本当は仕事だったのに『Milkyway』まで来てくれて……これ以上迷惑をかけたくないの。」


『下らない用事で呼び出さないで』と言った有紗さんの顔が目の前をちらついた。


ここまで体調を崩したのは、昨日ちゃんと食事を摂らなかった自分の責任だ。


だから、これ以上裕介くんには甘えられない。


「分かった。…じゃあ俺が送る。悪いけど今日は車は置いて行けよな。このままちょっと待ってろ、荷物取ってきてやるから。」



必死な様子は伝わったようだけど、私が『送らなくても一人で帰れるから』と言う間も与えず、純くんは校舎へと走って行ってしまった。
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