恋がしたい。ただ恋がしたい。

「そっか。男の子だもんね。2、3年もしたら、この車ぐちゃぐちゃに汚れちゃうかもね。」


「そうだけど…あれ、俺男の子だって言ってたっけ?」


「あれだけ職員室で何度も子どもの事を話してたら、意識してなくても耳に入ります。」


そうでなくても純くんは奥さんの話題になると分かりやすくデレるし、子どもが出来た頃なんて『俺は世界一のしあわせ者です!』って叫ぶくらいの勢いで話しまくってたしね。



純くんは私の言葉にアハハと豪快な笑いを返しながら「ま、それに一人で終わらせる気も無いしな。」とさらに惚気て見せた。


「…呆れた。ちゃんと奈緒子ちゃんの事労りなさいよね。間違っても出産直後に二人目とかやめなさいよ。」


「するか。…崎山こそ、自分の身体を労れよな。さっき薬飲むのを止めたのは、朝からろくなもん食ってないんじゃないかと思ったからだよ。空きっ腹に頭痛薬なんか飲んだら胃がおかしくなるぞ。」


朝からろくな物を食べていないどころか、まともな食事をしたのは土曜日の朝が最後だって言ったりしたら、絶対に怒られるだろうな…。



「…じゃあ帰ってから飲む。」


これ以上追及されたくなかったので、飲みかけた薬をパッケージに戻してそのまま鞄の中に入れた。
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