恋がしたい。ただ恋がしたい。

コンビニにでも寄って何か口に入れる物を買え、としつこく言うのを大丈夫だからと断っているうちに、いつの間にか車はマンションの前に到着していた。


「どうもありがとう。ほんと、助かりました。」


深々と頭を下げて車から降りようとしたら「エレベーターあるんだろ?階段で行くなよ。」と言われた。


階段を使うって前提で釘を刺してくるのが、ほんと腹が立つ。


…まぁ、行こうとしてたけどね。


「はいはい。…大村くん、まるでお父さんみたいね。」


わざわざ仕事を抜け出してまで送ってくれたのに……私はどうしてこんな可愛いげの無い言い方しかできないんだろう。


…そして、やっぱり純くんはまたムスッとした表情になってしまった。



「……どうでもいいヤツなら、ここまで口うるさくしない。」


唇を尖らせながらボソボソと呟いた言葉は、私の耳までは届かなかった。



「なあに?大村くん。」


「何でもねえ。早く行け。…そうだ。部屋に着いたら一回俺に電話寄越せ。無事に着きましたって報告。な?」



ー『大丈夫だって。ほんと、心配性なんだから。』ー



また可愛いげの無い言葉が飛び出しそうになったのをかろうじて飲み込んで、うんとうなずいておいた。
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