恋がしたい。ただ恋がしたい。
「紫、私もうすぐここを出て行く事になると思う。」
「…はぁ?!」
突然の私の言葉に驚く紫に、私は土曜日からの出来事を話していった。
亨から連絡が来て『Milkyway』で話合いをした事、亨が同窓会でプロポーズしていた女性、望さんもその場に来た事。裕介くんが来てくれて助けてもらった事、裕介くんのおかげで亨に自分からきちんと別れを告げた事…
裕介くんと寝てしまった事………は、言えなかったけど。
忘れ物を届けに『Felicita』に行って、裕介くんの彼女に会ってしまった事も話した。
そして、いちばん大切な話を伝える。
「紫、私ね、裕介くんの事……好きになったの。」
自分でやっと気がつく事ができた、大切な気持ちを紫にはどうしても話しておきたかった。またすぐに失う事になったとしても、私は今恋をしているんだから。
紫は私の告白に少しだけ眉を寄せて考えた後、「うーん、それで?…香織はどうしたいの?」と聞いてきた。
「それで?って…それだけだよ。さすがにもうここには住めないから、ここを出ていく前に自分の気持ちだけはちゃんと伝えようと思ってる。…振られたも同然なんだけどね。」
「ふーん……何か、ずいぶんすっきりした顔してるのね。香織の事だから、裕介と何かあったなら、私に申し訳ないとか、ごめんって言葉が真っ先に出て来るのかと思ってたんだけど。」
それもちょっと当たっている。
最初は紫に合わせる顔が無いって確かに思った。けど、悪い事をした訳でも無いし、裕介くんに無理やりされた訳でも流された訳でも無い。裕介くんと関係を持ったのは自分の意志だ。だから、紫に謝るのは何だか違う気がする。