恋がしたい。ただ恋がしたい。
紫の言葉に目の縁がじわりと熱くなった。
ーー『崎山はさ、昔から何かあったらみんなの先頭に立ってトラブルを解決してくれただろ?……だけど自分の事は二の次だ。それがどれだけ回りの人を心配させてるか分かってるか?』
昼の電話での、純くんの言葉が頭に浮かぶ。
紫は…私と違って思い付くまま自由に生きていると思っていた。
恋愛に関してもそれは同じで、私が『好き』と思って即行動しても…結局最後には慎重な性格が心にブレーキをかけて、心のままに相手に向き合えずに恋が終わっていくその一方で…
紫は「要は、フィーリングよ。」なんて言って、一度限りの関係で終わってしまった事なんて、一度や二度じゃなかったはずだ。
恋が終わって『これは恋じゃなかった』って、へ理屈ばっかりこねて後悔していた私と違って、紫の恋はいつも潔かった。
だからもどかしい恋愛をしている私の事を呆れたり、いつもバッサリと厳しい言葉で切ったりして活を入れられる事はあっても、こんなに心配されていたとは思わなかった。
「…紫、ありがとう。私、ちゃんと裕介くんに向き合ってから自分の気持ちを伝えるからね。…どんな結果になっても逃げないで伝えるから。」
私の言葉を聞いて、紫は今度は笑顔になった。
私が逃げなければ、裕介くんは私の気持ちを蔑ろにせずにきちんと受け止めてくれる。
ーーそう、目の前の親友が私の大切な想いを受け止めてくれたように。