恋がしたい。ただ恋がしたい。
たぶん、小山くんから聞いたんだろうな…何か当たり前のように私の話がみんなの間で回っているのって……嫌だな。
紫は小山くんとも、純くんとも…奈緒子ちゃんとも幼なじみだし、仲がいいから仕方ない。そう分かっていても、もやもやと割りきれない気持ちが胸の中にあった。
どんな言葉が返って来るんだろう…。
なかなか返信が来ない携帯を眺めて待つこと、20分。
ようやく紫からの返信を知らせる着信音が鳴った。
『泊まる準備をして家においで。今日明日うち親居ないから。何でもいいから自分用にお酒買って来て。つまみはこっちに任せて。』
思ってもいなかった返信に、目を丸くした。
何のフォローも無く、まさか飲みの誘いを受けるなんて…。
…酔って忘れろって事?
『何で?』と返信する気持ちも失せて、誘われるまま泊まる準備をして紫の実家にお邪魔した頃には、何故か裕介くんがキッチンに立たされていて、紫は出来上がった料理に手を出しつつ、既に半分出来上がった状態になっていた。
裕介くんは、自分はお酒を一滴も飲んでいないのに、ニコニコと楽しそうに料理をしていて、そのちょっとシュールな光景になんだかもやもやとした気持ちもすっかり吹っ飛んでしまったのを、よく覚えている。