恋がしたい。ただ恋がしたい。
裕介くんと話をしたのは、高校の時以来だった。
裕介くんもバスケ部だったけど、学年も違っていたから会話をしたのなんて数えるほどだ。
顔を付き合わせてまともに話をしたのは初めてだったけど、姉思いの優しい性格に好感を持って、こうやって話してみたら、好きな物や音楽なんかが一緒で気が合って、すぐに打ち解けた。
そのうち……失恋をして、辛い気持ちをさらけ出す事も忘れて、その日は心の底から楽しく過ごす事ができたんだった。
たぶんこの日が無かったら、「俺はもう、お前の気持ちに応えてやることはできない。」と純くんに言われた瞬間に、私の心は本当に死んでしまっていたかもしれない。
……あぁ、そうだ。この時の事がきっかけで3人で集まって飲むようになったんだった。
私が裕介くんに『香織ちゃん』って呼ばれるほど仲良くなった後で、裕介くんが実家から『Felicita』に通うのがキツくなったっていう理由で、二人の職場に近い今のマンションに暮らし始めて…
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「何か、色々思い出してる顔してるね。」
紫の言葉にハッと我に帰る。
「うん。三年前の事…思い出してた。私、裕介くんに好きだって言葉以上に伝えたい事がいっぱいあるなって。…もちろん、紫にも感謝してるよ。ありがとう。大好き。」