恋がしたい。ただ恋がしたい。
不機嫌な理由なんて決まっている。
奥さんとケンカでもしたんでしょ。どうせ。
何の因果か…
初めて好きになって、初めてつきあって…
ついでに言っちゃうとハジメテを捧げちゃった男と、私は今同じ職場で働いている。
異動して来たのは私のほうだから、文句を言いたいのは純くんのほうかもしれないけどね。
うわっ、まだムスッとしてる。
まるで怒られた小さい子のように口を真一文字に固く結んでいる。
ほんとに子どもみたいな人なんだから。
…まぁ、そんな所も好きだったんだけどね。
ここ、羽浦西(はうらにし)小学校に異動して純くんに再会した時、私は運命を感じた。
見えた(ような気がした)んだ。赤い糸が。
純くんにしてみたら、元カノと…しかも結構気まずい思いをして別れた女と同じ職場で働くなんて拷問のようなもんだっただろうに。
私のほう?もちろん運命の赴くままに突っ走りましたとも。
早く慣れたいから、学校の事を教えて!
相談に乗って!!
ご飯に行こう!!!
『何ならヨリを戻そうよ!!!!』
(これは心の中で叫んでいただけだけど。)
だけどね、運命を感じていたのは私だけ。
私の運命の赤い糸は、純くんと繋がってはいなかった。
純くんはずーっと幼馴染みのあの彼女の事を想っていた。
あなたの存在が邪魔だと、直接彼女に意地悪をしたこともある。
恋は人を狂わせる。
邪魔物の私には天罰が下った。
私の初恋は実らず、純くんの初恋は実って熟してさらに大きな実になった。
初恋は実らないなんて誰が言った?
純くんは幼馴染みで、初めて好きになった子と結婚して……もうすぐ父親になる。