恋がしたい。ただ恋がしたい。
あっさりと彼女からスマホを受け取った事を認められて、また目の縁に涙が盛り上がる。
出られなかった…?私が届けに行った時はお店になんか居なかったじゃない。
…嘘、ついてるよね?
「…も、やだ。」
裕介くんの事が分かんない。
こんな泣き虫な自分は自分じゃないみたい。でも、涙が止まらない。
「…どうしてまた泣くの?『やだ』って何が?ちゃんと話してくれないと分からないよ。全部答えるから、教えて?」
ぐいっと手の甲で涙を拭って裕介くんを見据えた。
「…裕介くんだって、ちゃんと話してくれてないじゃない。どうして嘘をつくの?裕介くんは、菅原さんと付き合ってるんでしょう?それなのに何で私に好きだって言うの?!」
「…へっ?!」
目を丸くして驚いたその表情から嘘は見つけられなくて、ますます訳が分からなくなる。
混乱しながらも、責めるように話す言葉がとまらない。
「…だって、『Felicita』にスマホを届けに行った時に、菅原さんに言われたの。裕介はここには居ないって。自分の所に居るから今日は帰らないからそのつもりでいてねって。」
「……裕介くん、私には仕事に戻るって手紙を残してたでしょ?だけど、菅原さんは仕事じゃないよって、自分が彼を呼んだんだって、そう言ってたんだよ!」
「だから裕介くんの事信じたいけど…たった今『Felicita』に居なかったくせに居たって嘘ついたじゃない!!それなのに、『好きだよ』って言葉を素直に信じられるほど私、鈍感じゃな……」
最後まで言葉を話す前に、すっと長い指先に顎を持ち上げられて、そのまま唇が塞がれた。