恋がしたい。ただ恋がしたい。
「何可愛く首傾げてるの?…和希さんだよ。か、ず、き、さん。『Felicita』にスマホ届けに来てくれた時に話したんでしょ?」
ポカンとしてしまった私を裕介くんは訝しげに見ている。
…だって、何を言っているのか全く分からないんだもの。
有紗さんの話をしたいのに、どうして急に和希さんが出て来るの?
「ひょっとして、まだ何も聞いてなかった?…にしても、誤解にも程があるよね。何で僕が和希さんと付き合わなきゃいけないの?ほんと、勘弁してよ。」
苦い顔をしている裕介くんに心の中で『えー!!』と叫ぶ。
それこそ、とんでもない誤解だ。
「ちっ……違う!違うっ!!和希さんじゃないよ!私が『Felicita』で話したのは、有紗さん!…裕介くんは、有紗さんと…付き合ってるん……じゃないの?」
今度は裕介くんがポカンとした表情になった。
「……有紗さん?何でいきなり有紗さんが出て来るの?香織ちゃん、会った事無いよね。」
「うん。土曜日に初めて会って話をしたの。」
そこまで話すと、裕介くんは顎に指を添えてしばらく考えこんだ後で、苛立ちを隠せない表情で頭をかいた。
「……あー、何となく分かった。うん。…ほんとに、余計な事してくれたなぁ…。」