恋がしたい。ただ恋がしたい。

しかも、志帆さんまで私に嘘をついたんだ…。

信じてたのに、あんまりだ。


思わず恨み言のように「志帆さん…小山くんはいないって言ってたのに。」と口に出してしまった。


「だって、崎山は俺がここにいたら場所を変えただろ?裕介に、崎山は早目に来て俺が居ないかどうかチェックするはずだから、俺は絶対厨房から出ちゃダメだって言われたんだ。これでもかなり我慢したんだけど。」


「『こんな店』って言われた瞬間に、思わず飛び出しそうになったけどな」と言いながら、また小山はニヤニヤと笑い出す。


「俺が居ないって分かったらここで話をするだろうってのも、たぶん人目に付きにくい席はどこですかって聞くだろうから、そしたら厨房に近い席に案内してくれって言ったのも全部裕介だからな。志帆なんて、あんまり崎山が裕介の予想通りに動くもんだから、笑いを堪えるのが大変だったって言ってたぞ。」


「…なっ。」


確かに…志帆さんはくすくすと笑いながら、あの席に案内してくれたっけ…。


…ってか、堪えてなかった!ずっと笑ってたし!!


悪かったわね!予想通りの単純な女で!


「ちょっと、奏一くん。あんまりばらすと香織が怒って裕介がまた可哀想な事になるからやめてくれない?…せっかくまとまったのに。ほんと面倒くさい二人なんだから、これ以上世話を焼くのは嫌よ。」


「よく言うよ、紫。裕介を可哀想な見た目にしてんのはお前だろ。今度殴るような事があったら、なるべく外から見えない所にしてやれよ。もうすぐオープンなんだろ?」
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