恋がしたい。ただ恋がしたい。

最後まで読み終えたパステルイエローの便箋をそっと封筒に戻して、そのままエイッ!と勢い良くリビングのゴミ箱に突っ込んだ。


内容は理解できたけど、だからと言って全てを水に流して許せるほど、私はできた人間じゃない。


「……破り捨てたり、煮たり焼いたりしなかっただけでも感謝しなさいよね。」


そう手紙に向かって呟くと、すうっと心が軽くなった気がした。



***

「僕としては、香織ちゃんが奏一くんに苦手意識を持たなくなってくれれば嬉しいけどさ。……でも、いいの?香織ちゃん、恋愛の突っ込んだ話苦手でしょ?あの店の人達、凄い聞いて来るよ。これから今までと同じように通える?」


言われてみれば、小山の前で「裕介くんを好きになって良かった」なんて言っちゃったし……確かにちょっとのろけ過ぎたかも。


陽介さんまであの場に居た事を思い出して、今さらのように頬が熱くなってきた。


しばらく通わない……のは無理だから、テイクアウトだけにしようかな。


「ふふっ、真っ赤になって。可愛い、香織ちゃん。」


恥ずかしさにうつ向いた顔をさらにのぞきこまれて、ますます頬が熱を持っていく。


「……可愛くなんかないよ。」


視線を逸らしながら距離を取ろうとする私よりも先に、裕介くんの指が私の指先をキュッと捉えていた。
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