恋がしたい。ただ恋がしたい。

「……香織ちゃんは可愛いよ。」


「意地っ張りなくせに、本当は気が弱くて泣き虫な所も。」


「愚痴を言ってても、本当に辛い事はぐっと我慢して飲み込んじゃう所も。」


「僕の下心に全然気がつかないほど鈍感で、純粋な所も……全部ね。」



視線を外していても、耳元に畳み掛けるように囁いてくるその声が憎らしい。



その間にも裕介くんの指先は、捉えられた指から指の間、手の甲までするりと撫で上げてきて、背中をゾクゾクとする感触が駆け上がっていく。



「……っ、もう!からかわないで。」


たまらず指を振りほどこうとしても、いつの間にか悪戯な指は私の手首をしっかりと捉えていた。



「からかってなんていないよ。素直に甘えられない意地っ張りな可愛い可愛い彼女を、こうして可愛がってるだけ。」


「……っ。」

わざわざ掴んだ手を目の前まで持ち上げて、わざとチュッと音を立てて手首に唇を寄せられる。


『こんな、公衆の面前で何をしてるのよ!やめてよ!』


……何て気が弱い私が公衆の面前で言えるはずも無く、裕介くんにされるがままだ。


手首が熱い。頬が熱い。首が熱い。ひょっとしたら、全身真っ赤になってるんじゃないかってくらい、どこもかしこも熱くてたまらない。


はぁ、と熱い息を吐く私を、裕介くんはニコニコと笑いながら見つめている。



「あ、そうそう。お酒に弱いくせに、自分じゃ強いと思ってる所も可愛いよね。」
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