恋がしたい。ただ恋がしたい。
動揺している私とは違って、裕介くんは誘い方もスマートだし、こうして人前でも平気で手を繋いだり、キスできちゃう所とか……慣れてるのかな、なんて思ってしまう。
友達だった間にどうして裕介くんの恋愛話に興味を持たなかったんだろう。
聞いてたらちょっとは耐性ができてたかも…いやいや、聞いてたら今確実に嫉妬をしてたから、やっぱり聞いておかなくて良かったのかもしれないけど……。
「……ちゃん、香織ちゃん?」
「……えっ、わっ、ごめん。な、何?」
頭の中でごちゃごちゃといろんな事を考えている間に、いつの間にか国道も渡ってしまっていて、『Felitita』の目の前まで来ていた事に今頃気が付いた。
「また考え事してたでしょ?そんなどうしよう、って目をしなくても大丈夫だって。もう駅前まで来ちゃったし、『Felitita』の前通ってホテルに行くのは見つかったらさすがに恥ずかしいから、今日はおとなしく真っ直ぐ家に帰ります。」
……ほらね。私が恥ずかしがってどうしようもなくなってるのを分かってるから、こんな風に冗談っぽくサラリと帰ろうねって言ってくれるんだもの。
「……裕介くんは、慣れてるよね。」
言うつもりは無かったけど、思わず口に出してしまった。
「慣れてるって、何が?」
「私ばっかりいつも余裕が無くて、心の中がぐちゃぐちゃだから。」
いい年して恥ずかしがって、裕介くんと同じペースで愛情を伝えられないのがもどかしい。