恋がしたい。ただ恋がしたい。

「10年前って……高校の時から?本気でって……3年?えっ?」

恋人同士になった日に裕介くんが私をずっと好きだったって事は聞いたけど、いつから好きでいてくれたのかは教えてくれなかった。


そんなに前から想ってくれていたなんて信じられない。


裕介くんは常にナチュラルで……そう、空気のように側にいるのが当たり前っていう存在だったから。


「……絶対驚くと思った。僕、結構分かりやすいほうだと思うのに、香織ちゃんってば全然気がついてくれなくて。彼氏がいるからってのを差し引いてもさ、何て鈍感な人を好きになっちゃったんだろうって、心の中で何度もため息をついてたんだ。」

「とうとう僕が香織ちゃんの事を好きだって知らない人が周りで誰も居なくなっても、何故か本人だけには全く伝わってなかったしね。」


『周りの人』がどこまでを指しているのか……考えるだけでも恥ずかしい。



ふと前に、高校生の頃の夢を見たことを思い出した。


確か、あれは三年生の春。新入部員が沢山入って来たって喜んでたら、ほとんどの子が純くんか小山目当てだったって事が分かって、私が怒りまくっていた時の夢だった。


高校の記憶の中に紫や純くんや小山はよく出てくるけれど、裕介くんの事は殆ど思い出せない。


紫と裕介くんも普通の姉弟のように仲は良かっただろうけど、今ほど仲良しでも無かったような気がするし。  


だから、裕介くんが私を意識するようになったきっかけが高校の時だったっていうのはちょっと意外だった。
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