恋がしたい。ただ恋がしたい。
私の住んでいるアパートは『紫山』のある駅前商店街の通りから一本道を挟んだ奥、昔ながらの住宅地に程近い所にあって、こうして『紫山』で飲んだ後は裕介くんのほうが駅前商店街から近い所に住んでいるのに、いつもアパートまで私を送ってくれる。
今までは『ありがとー』と感謝はしても、送ってもらう事については深く気にした事が無かった。
だけど、今日はどうしても裕介くんに送ってもらっている事を、一緒に歩いている事を意識してしまう。
店を出てから、何故かまた当然のように手を繋がれて、まるで恋人同士のように寄り添って私達は歩いている。
何度か意識を逸らそうとしたんだけど…その度にがっつりと意識してしまっている自分に気がついてしまって、わぁ、と心の中で何度も声にならない叫び声を上げてしまっている。
仕事柄ヒールの高い靴を履けない私は、それでも170センチ以上はあって大抵の男性は自分と同じ目線になるから、普段はそこまで自分が女だって意識する事は少ない。
裕介くんは…たぶん185センチくらいはあるだろうな。純くんと同じくらいか、ちょっと低いくらいだと思う。
ちゃんと自分が女性なんだって自覚できるくらいの身長差があるのが、この妙な緊張感に拍車をかけている原因なのかもしれない。