恋がしたい。ただ恋がしたい。
気がついたら裕介くんの指ってこんなに長かったんだなー、とか、そうだよね、片手で3枚とかお皿を持っちゃうんだもんねとか…
こんな長い指に大切に抱えられるなんて、お皿が羨ましいなぁ、とかそんな事ばっかり考えちゃってる自分がいる。
…何だ、お皿が羨ましいって。変態か、私は。
亨に振られてから、とうとうどこかおかしくなってしまったらしい。
久しぶりに触れている他人(ヒト)の体温。
決して世間一般で言うような、綺麗な指先ではない。ウェイターだけど、料理を作る事も好きな人だから切り傷や火傷の跡もある。
だけど、私はとても綺麗な指だと思っている。
よく手入れされているそのしっとりとした指の感触は心地よく、私の体温と重なっていくほどに指先から全身が溶け出して流れていってしまいそうなほどだった。
さっきから私の心臓は痛いくらいにドクドクと脈打っている。
単なるときめきじゃない、この痛みの種類を私は知っているけれど、心がどうしてもそれを認められない。
……信じられない、ありえない、そんな訳ない。
いろんな感情がせめぎあって心の中はちょっとしたパニックだ。