恋がしたい。ただ恋がしたい。
「一応さ…他の所にも隠れてないか確認したいんだけど、見ても大丈夫?」
「あっ、う、うん。」
1DKのこの部屋で他に人が隠れられそうな所と言ったら、お風呂場かトイレか、ベッドの横にあるクローゼットくらいだろう。
ちょっと抵抗はあるけど、恥ずかしいなんて言ってる場合じゃない。
「お願い…。」
不安な気持ちは収まらず、心臓がドクドクと脈打つように大きな音を立てている。
震える手を裕介くんがギュッと握ってくれた。
さっきまであんなに危険を感じていたその手に安心してしまうなんて、我ながら何て現金なんだろうと思う。
トイレ、お風呂場と玄関に近い順番で確認して…最後にクローゼットを開けた時、私はこの部屋に入った『泥棒』の正体を確信した。
「……亨。」
クローゼットにかかっていた亨の服が、消えていた。たぶん、引き出しに入っていた細々とした物も持って行かれているだろう。
思い入れのあるものだけ持って行ったのか…単に面倒だったのか、下着や、歯ブラシ、シャンプーや、読んだまま置いていった雑誌や漫画などは残されていた。
ここは私の部屋なんだけど、亨にとって私は、この雑誌なんかと同じで必要が無い物だったから、この部屋に『残された』んだと、思わずそんな事を考えてしまった。
足元から力が抜けて、床にへなへなと座り込む。
「わっ、香織ちゃん、大丈夫?」
「うっ、うん。へーき…」