恋がしたい。ただ恋がしたい。
よかった、とホッと息をついて、クローゼットから身を起こそうとした時、ヘアゴムのチャームが引っ掛かって上から服がバサリ、と落ちてきた。
「きゃっ…」
一瞬視界が被われて、声を上げる。
「あー、ちょっと待って。…ん、取れたよ。はい。」
裕介くんが引っ掛かった服を器用に外してくれた。
「ありがとう…。」
渡された服を複雑な思いで眺める。
ショート丈のニットを合わせた、大人っぽいデザインのロングワンピース。
足にまとわりつく生地の感触が好きじゃなかったからあまり着た事はなかったけど、それでもクローゼットの一番目につく場所にいつもかけていたのは、享が買ってくれた服だったからだ。
10日前の同窓会にも、久しぶりに享に会えるからってこの服を着て出掛けた。
振られたんだから、さっさと処分すれば良かったのに、またこうして目につく場所にかけてしまっていたなんて…ほんと、習慣って恐ろしい。
「…なんか、それ香織ちゃんに似合わない。」
眉を寄せながらボソッと呟いたかと思うと、裕介くんはすぐに「香織ちゃんなら、こっちでしょ。」とミントグリーンのショートパンツを指差した。