恋がしたい。ただ恋がしたい。

今日は月曜日。明日だって仕事なのに。


混乱する私に言い聞かせるようにゆっくりと裕介くんが話し出す。


「あのさ、香織ちゃん。アイツが合鍵を持っていつ入って来るのか分かんない状態のこの部屋に、香織ちゃんの事置いて行ける訳無いでしょ。…元カレだからってヒドイ事をされないって保証も無いし。第一、鍵を取り替えなきゃ香織ちゃんだって安心してここに居られないと思うんだけど。」


…そっか。私が居ない間に享が来て、ここで鉢合わせする可能性もあるんだ。


あんな別れとも言えない別れ方をしたから、話し合いたい気持ちも無い訳ではない。だけど、この部屋で話すのは絶対に嫌だ。


確かにこのままじゃ不安で、この部屋では暮らせない。


私はまたクローゼットの中にしゃがみこむと、旅行用のキャリーバッグを引っ張り出して、黙々と荷物を詰めこんだ。


「…ごめん。後ろ向いて?」


下着は…とりあえず2、3日分くらい詰めとけば大丈夫だろうか。


荷物を詰めながら、ふと気になった事を質問してみる。


「…裕介くん、さっきどうして鍵が空いてるって言った時にすぐに泥棒だって思ったの?私が鍵をかけ忘れただけだって思わなかった?」


「思わないよ。香織ちゃんが鍵をかけないで出掛けるなんてありえないよ。かけた後で何回かガチャガチャする人でしょ?」


「香織ちゃんはね、石橋を叩いたくせに、『叩きすぎたから怖い』って言って渡れないような人だから。それだけ慎重な人が鍵をかけ忘れて外出する訳ないよ。」
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