恋がしたい。ただ恋がしたい。

…来れる訳ないじゃない。


「お誘いありがとう。でも私はいいわ。紫にも先にお祝い渡したし。」


丁重にお断りをする。


紫と亘さんだけならともかく、コイツと、純くんと、奈緒子ちゃんまで参加するお祝いに…私が居ていいはずがないじゃない。



私も気まずいし、何よりお腹の中の赤ちゃんに良くない気がするし。



「裕介も誘うんだから、崎山も来ればいいのに。」


ついでとばかりに誘ってくる小山に、軽く苛立ちを覚える。


だーかーらー、裕介くんだってみんなと小学校から一緒なんだからその場に居たっておかしくないけど、そこに私が入るのは違うでしょ?


「みんなパートナー同伴だから、裕介にもいたほうがいいかなと思っただけ。」


…だから、私は裕介くんのパートナーじゃないって!


無視してフォンダンショコラに集中を決めこんだ私に、小山は「…ま、気が変わったら教えてくれよ。またな。」と言いながら(見た目だけは)爽やかな笑みを浮かべて厨房へと戻って行った。


…小山むかつく。


グサッ、グサッとフォークを突き立てながらフォンダンショコラを口に放りこんでいく。


むかつく、むかつく、むかつく。



…あぁ…おいしい。



むかつく。むかつく。むかつく…



…けど、おいしいっ!やっぱりおいしい!!
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