恋がしたい。ただ恋がしたい。

「香織ちゃんは、お休みは、ゆっくりのんびり過ごしたいよね?」


「うん。」


「せっかくのお休みを、ベッドから起き上がれないくらい具合が悪いまま過ごす事になってもいいの?そうなってもいいくらいに飲みたいんだったら止めないよ。でもさ、具合が悪い香織ちゃんのことを、目の前で見てて僕は無視する訳にもいかないよね。そうなると、僕もお休みを一日潰して付きっきりで看病させてもらうことになると思うんだけど。…で?どうする、飲む?」





「…すみません。もうのみません。」



子どもに話しかけるように、にこにこと優しく微笑まれながら諭されて、がっくりと項垂れるように頷いた。



「はい、よくできました。」



「じゃあ、もう……ねよう…かな。」



再び立ち上がろうとした私を、裕介くんが今度は腕を直接掴んで引き止めた。



そのまま間近でじっと見つめられる。



…ってか、近いんですけど。


よく考えたら、さっきまでうたた寝してたし、化粧もよれてるよね?どうしよう、よだれとか垂れてたら。



「…香織ちゃん、何かあったでしょ。」


「へっ?」



頭の中がよだれの事でいっぱいになっていたので、裕介くんの言葉が一瞬理解できなくて、思わず間の抜けた声を出してしまっていた。



「香織ちゃんってさ、酔ってもちゃんとしてるから、めったに潰れる事はないよね?でもさ、そんな香織ちゃんが潰れちゃう時っていつも決まったパターンがあるんだよ。…気がついてた?」
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