恋がしたい。ただ恋がしたい。
パターン?何それ?そんなの知らない。
ポカーンとしてしまったのが顔に出てしまったのだろう。裕介くんは、
「やっぱり、気がついてなかったんだね。」と呆れ顔で呟いた。
「…うん。」
「たぶんさ、僕か紫ちゃんと飲んだ後に具合悪くなるなー、くらいにしか思ってないでしょ?」
「…うん。」
「香織ちゃんって、変なとこは神経質なのに、基本は天然で鈍感だよね。」
「…へっ?」
遠慮の無い言い方に、思わず言葉が止まってしまう。
「そもそも潰れるくらい飲んじゃうのも、何か嫌な事があった時だけ。もっとはっきり言っちゃうと、振られたり、男関係で何かあった時だけなんだよ。」
「うそでしょ…」
「嘘じゃないよ。『飲もうよー』って、電話がかかってきた時点でもうバレバレ。言っとくけど、紫ちゃんも気がついてたからね。」
二人とも、知ってて黙ってたって事?私ってそんなに単純なの?
…しかも、今の『飲もうよー』って私の口真似?私ってそんなにいっつも情けない声で電話してんの?
「そうそう。隠すのも下手だから、誤魔化しても無駄だからね。…だってさ、今の自分の目を鏡で見てみなよ。香織ちゃん、さっきからずっと泣きそうな目になってるんだよ?」
「…なにいってるの?なきそうになんて…なってないよ。」
心当たりは全く無いのに、呟いた声は何故か微かに震えていた。
「とりあえず、コレはもうおしまい。ね?」
すっ、と裕介くんのしなやかな指先が、まだ半分ほど中身が残っていたグラスを取り上げた。