恋がしたい。ただ恋がしたい。
「裕介くん…」
「…なに?」
「……寂しいよ。」
「うん。」
『そうだよね』『やっと話してくれたね』とでも言いたげな、まるで私がそう言うのを待ってくれていたような、そんな優しい響きの『うん』だった。
友達として、一番の親友として紫の結婚を祝福したい気持ちはある。けれども、取り残されたような寂しさだけは、どうしても心の奥底からぬぐい去ることができなかった。
こんな気持ちは口に出してはいけないと思っていたし、誰にも知られてはいけないと思っていたから、心の奥底にしまいこんでいた。
「紫がしあわせになって、友達としてほんとうに嬉しいの。」
「うん。」
「それだけは、ほんとうなの。」
「うん。」
「…でも寂しい。寂しいの。どうしようもないくらいに。」
「…うん。」
裕介くんは私を抱きしめたまま左肩に軽く顎を乗せていて、「うん。」と返事をする度に私の耳にふわりと息がかかる。
その熱い吐息が、体温が、意地っ張りな私の心に心地好くじわじわと染みていく。
思えばこんな風に誰かに無防備に心をさらけ出したのは、久しぶりかもしれない。
いつもギュッとむすんだポニーテール。キツく結んだ髪のせいでつり上がり、キツい性格に見えてしまう二重の目元。
この容姿のせいで、今までしっかり者だと勘違いされたまま、恋人ですら心から甘えた事なんて無かったような気がする。
私はいつも弱くて脆い本当の自分を知られるのが怖くて、自分が傷つかない事だけを考えて心をさらけ出すのを躊躇してしまう。
裕介くんには、意地っ張りなだけで見た目ほどキツイ性格じゃないって事や、本当は寂しがり屋で細かい事ばかりが気になってしまう所まで全部知られてしまっている。
だから、心の弱い部分もこうしてさらけだせるのかもしれない。