恋がしたい。ただ恋がしたい。

私の言い方が気に入らなかったのか、純くんは、とたんにギュッと口元を引き結んで不機嫌な表情になった。


何よ。


こっちだってね、あなたたちの視線が気になって仕方がなくて、イライラしてたんだから。


こうなるのが嫌だったら、最初からあんな視線寄越さないでよ。



***


「それで?何が言いたかったの?ここまで来て『イイエ、トクニ』は無しだからね。」


黙ったままの純くんをぐいっと引っ張りながら、屋上へと通じる階段を上がって行く。


面談室なんかで話すとかえって目立っちゃうから、先生同士でプライベートな話をする時には、この屋上へ通じるドアの横の踊り場を使うことが結構ある。


そう言えば…


志田ちゃんから来年結婚するんです~、って聞いたのもこの場所だったなぁ…。



あの時は、私もそろそろ亨からプロポーズしてくれないかなー。式を挙げるなら、ジューンブライドの季節がいいなーなんて、呑気に思ってたのにな…。



まさか彼氏が他の女と6月に結婚するなんて。



…こんな事になるなんて、想像もしてなかったわ。
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