恋がしたい。ただ恋がしたい。
…だけど、その報いなら充分に受けたはずでしょう?
あの時から、私は恋する気持ちを忘れてしまった。
恋がしたくて…恋がしたくて…
ただ、それだけなのに。
「……私が裕介くんと付き合ってると、純くんは安心するの?」
悔しいような、悲しいような、何とも言えない感情が沸き上がって来る。
「違うか…。私には『何も言う権利がない』と思ってるんだよね。だったら…純くんは誰の為に言ってるの?裕介くんの為?」
「友達の弟で大事な後輩が、私みたいな女と付き合ってる事が……心配?」
怒りたいのか、諦めなのか…
「確かに、私は思い込みが激しい所もあるし、相手の気持ちを考えないで突っ走る所もあるよ。…でもね、」
「私は遊びで付き合ったり、いい加減に付き合ってきた事なんて一度もなかったよ。」
感情のままに言葉を絞り出すうちに、だんだんと声が震えて、後の言葉が続かなくなった。
「…それだけは…誤解されたくないよ。」
目の縁が熱くなり、その熱はそのままぶわりと盛り上がるように膨らんだ。
「崎山…。」
戸惑っているような、困ったような顔をした純くんの表情がぼやけて歪んで見えた。